神さまのお使い「白ぎつねとなまず」 白井神社 

〇 昔、大そう力の強い神さま、神々から「力持ちの神さま」また「ピンひげの神さま」 
  とも言われている神さまがおられた。
神さまにも、家来のなまず達にもピンひげがあるからであった。
ある時、大神さまが病気ではないかとのうわさが広がった。
「えらいことや! どこがお悪いのか?」神さま達は寄るとさわるとこの話で持ちき
り。
と言うのは、女神さま。神々のなかで一番えらいお方。いつも深い森の奥に住んで
おられて、神さま達と直接話をされる事はめったにない。大神さまには沢山のきつね
が仕え、神さま達への用事があると、きつね達がお使いしとった。
大神さまが一番気に入っておられる白きつねが、お取次ぎをよくしとった。その白
  きつねが、力持ちの神さまの所へやって来た。
   「なんか大神さまに変わったことでも?」恐る恐る力持ち神は問うてみた。
   「いや、特に用事はない。」偉そうに胸を張って、白きつねはすっかり大神さまの
  口まねだ。それにその威張り様が堪らんほどおもしろかった。
   「大神さまのお身体でもお悪いとか?」おかしいのを我慢して聞く。白きつねは
   、座っている力持ちの神の耳もとで、「実はじゃな、大神さまは歯を痛がっておられ
る。それでじゃが、う~ん、力持ちの神さまに痛い歯を抜いて欲しいと、仰せじゃ。
すぐ参られよ!!」
 力持ち神は、家来のなまずを連れ、きつねと共に大神さまのの所へ。
 ところが、力持ち神は、大神さまの痛い歯を抜かず、家来のなまずを大神さまに差
し上げた。大神さまは、見事なピンひげのなまずを見られただけで、歯痛が治ったそ
うな。白きつねはそれを見て、
「ハハ~ン! 力持ち神はまじないをして、歯痛を治されたな?」と思ったそうな。
なまずは大神さまの池に放された。
 そんな事があってか、力持ちの神さま「天手(あまのた)力男(ぢからおの)命(みこと)」が祭られている園田の白井
神社は、昔から歯神さんといわれていて、歯の痛い人がお参りすると、ふしぎと治る
という。境内に池があって、歯痛が治るとお礼になまずをもって行き、池に放すのや
そうな。この神社の近くに住む人は、そんな言伝えがある事から、昔も今もなまずは
食べない。なまずは神さまのお使いやから。
             「白井神社の由来 三好美佐子作(尼崎の民話)より」
「東園田町会50周年誌より引用」
                       文責. 園田まちづくり委員会
                                坂口 勲
                 

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